成功を夢見て起業する男女のサクセスストーリー系韓国ドラマ『スタートアップ:夢の扉』を見た方なら、自動運転技術を見てわくわくした方も多いのではないでしょうか?
このドラマで目指していた自動運転技術は、レベル4なのでしょうか?レベル4であれば、本当に素晴らしいですし、これが実用化される日がもうすぐそこまで迫ってきています。(見ていた感じ、レベル3の運転技術のようでした)
そもそも自動化運転レベルとは?
※知っている人は次の章まで飛んでください
自動運転のレベルは0~5までの6段階に分けて定義されています。
レベル | 名称 | 運動主体 | Piyorin的概要 |
0 | 運転自動化なし | 人 | つまり普通の自動車 |
1 | 運転支援 | 人 | これも旧来の自動車 |
2 | 部分運転自動化 | 人 | ハンズフリーで運転できる |
3 | 条件付き運転自動化 | システム | 視線も外してOK、アイフリーで運転できる |
4 | 高度運転自動化 | システム | 座ってなくてOK、ブレインオフできる |
5 | 完全運転自動化 | システム | 完全自動運転 |
レベル3とレベル4の間には大きな差があります。ここがポイントです。
自動化運転レベル3までは運動の主体はシステムであり、視線を外すことはできたものの運転者は運転席に座っていなければなりませんでした。
一方、レベル4は「高度自動運転」と呼ばれ、すべての運転をシステムが行うことが可能なのです。レベル3と違って、緊急時の対応も自動運転システムに操作を任せることができます。ドライバーの運転操作はもはや必要ありません。
自動化をめぐる日本の動き
運転席に座ってなくてもい、そんな漫画の中の話のような自動化運転「レベル4」が実用化されるための道路交通法の改正案が、今年(2022年)の春には国会に提出される見込みです。
現在の日本の法律では、高速道路の走行などに限りシステムに運転を任せるレベル3まで実現できています。
海外ではどうなのでしょうか?
海外の状況
韓国
競争の激しい韓国のハイテク業界を舞台にした『スタートアップ:夢の扉』が2021年に日本のNetflixでは話題になっていました。
このドラマは2020年韓国放送なので、韓国はよっぽど自動化運転の技術が進んでいるのか?と思われがちかもしれませんが、そんなことはありません。韓国も日本と同様に、レベル3が実用化されているのみです。
ドイツ
ドイツでは、2021年5月に自動運転レベル4を可能とする道路交通法改正法案が可決されていて、先進国の中でいち早く法整備が進んでいる国です。
ドイツはベンツをはじめ、車の国と言っても過言ではないかもしれません。しかしEV車の開発などには後れを取ってしまったため、それを取り戻すかのように「自動運転で世界のパイオニアになる」と宣言して法整備を進めています。
アメリカ
アメリカでは、すでにドライバーレスの自動運転車の公道走行がアリゾナ州やカリフォルニア州などで行われています。しかし、アメリカには連邦法と州法があり、道路交通法なるものは各州がそれぞれ定めているような体制になっており、自動運転についての法整備が国全体を通して整っているとは言えない状況です。
メリット・デメリット
メリット
移動手段として車を使用するときに「運転する」という行為から解放されるのが一番のメリットです。
特にメリットがあるのは、過疎地域の高齢者といわれています。高齢者事故がニュースで頻繁に取り上げられている現在、高齢者の免許返納という大きなテーマが社会課題になっています。
免許の返納自体は簡単です。でも実際に免許を返納してしまったら、どうやって生きていけばいいの?という人も多くいるのも現状です。
デメリット
一番に挙げられるのは、安全性の問題でしょう。 ‘本当に安全なの?‘ ‘事故は起きないの?‘
繰り返しになりますが、自動運転レベル3と4は大きく違います。 ←ここポイント
人が運転席に座っていることを前提としていない「レベル4」では、事故が起きた時の責任問題も考えないといけません。レベル3までは、緊急時は人が操作しなければならなかったため、事故時の責任は運転者にありました。しかし、レベル4の場合はシステムが責任をとりことになる=システムを作成したメーカーの責任も視野に入れて、法整備を進めないといけません。
導入にあたって議論すべきこと
先にも記載しましたが、自動化運転の法整備にあたって争点となってくるのは【事故時の責任をどのくらいシステム開発者が負うことになるか】です。この判断にはおそらく日本の文化も大きく関係してくると思われます。
ここでアメリカでの議論が興味深かったので、テスラの「自動運転」の安全性を巡っての議論を紹介します。
2016年以降にオートパイロット稼働中のテスラ車が、少なくとも30件の衝突事故(10人死亡)となっています。しかし、テスラCEOのイーロン・マスクはこれまで事故について一度も謝罪をしていません。
もちろん世間では、「オートパイロットを中止しろ」と批判の声が上がっていました。そのときに、イーロン・マスクは「人が運転するより、オートパイロットのほうが安全」と反論。「自動運転」と聞くと完璧なものを期待してしまうが、イーロンは「自動運転は、ある種の確率の問題だ」と主張しています。人々は自動運転に完璧を期待するのではなく、「人の運転より安全かどうかで考えるべきだ」と指摘し、その議論を受けてアメリカの国民の多くは「確かに、その通りだ」と批判の声は小さくなったのです。
果たして同じことが日本で起きた時、日本人はどのような反応をするのでしょうか?
おわりに
日本の文化として、革新的な技術をたたえ、受け入れて、広い視点で考えていくようになりたいものです。
個人的には導入メリットの多い過疎地域には導入し、車以外の代替の交通手段のある都市部ではレベル4を導入しないといったような柔軟な法整備でいいと思っています。
「何かあってからじゃ遅いんだ」「100%の保証がないと自動化運転を導入すべきでない」といった議論のまま、メリットが軽視され、導入が後回しにならないように願っています。
コメント
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